b著:04/06/2025
ウクライナ:6,000人の戦死者と「拉致」された子どもたちの行方
戦死者の遺体返還とその費用問題
2025年6月、イスタンブールで行われたウクライナとロシアの直接交渉で、ロシア側はウクライナ軍の戦死者6,000人の遺体をウクライナへ引き渡す用意があると発表しました[2][3][6][7][8]。この遺体の多くは、ウクライナ軍がロシアのクルスク州に侵攻し、急いで撤退した際にロシア側が回収したものとされています[6]。
ウクライナ政府にとってこの申し出は大きな問題です。なぜなら、公式にはこれらの兵士は「行方不明」とされており、死亡が認定されれば遺族には1人あたり1,500万フリヴニャ(約36,000ドル)の補償金が支払われるため、6,000人分で約900億フリヴニャ(約22億ドル)、ウクライナの年間軍事予算の約10%に相当する巨額な負担となるからです[6]。そのため、ウクライナ政府は多くの遺体を「身元不明」として、身元確認や死亡認定の手続きを遅らせる可能性が指摘されています[6][7]。
「拉致」されたウクライナの子どもたち
交渉の場でウクライナ側は、ロシアに「拉致」されたとされる子ども約339人のリストをロシア側に提出しました[1][4][5][6][7][8]。ロシア側は「数十人規模であり、過去に主張されたような何万人、何十万人ではない」と主張し、親が見つかれば返還すると述べています[1][5][6]。
しかし、ウクライナ政府や国際機関は、実際には少なくとも19,456人のウクライナの子どもがロシアにより強制移送されたと認定しており、ヤール大学の調査では2025年3月時点で35,000人に上るとされています[1]。国連や国際刑事裁判所(ICC)は、子どもの強制移送をジェノサイドの構成要件と見なしており、ICCは2023年にプーチン大統領とロシアの子どもの権利担当者に逮捕状を出しています[1][4]。
また、ウクライナの捜査当局とドイツの協力により、ロシアに「拉致」されたとされたウクライナの子ども161人がドイツで保護されていたことも判明しています[6]。このように、実際には戦火を逃れて家族と共に欧州へ避難したケースも多く、数字の解釈を巡って両国の主張に大きな隔たりがあります[6]。
まとめ
- ロシアは6,000人のウクライナ兵の遺体返還を提案、ウクライナ側は多額の補償金支払い義務が生じるため対応に苦慮
- 「拉致」された子どもの数を巡り、ウクライナとロシアの主張は大きく異なる
- 国際社会はロシアによる子どもの強制移送を重大な人権侵害と認定している
この問題は、戦争の人的・社会的コストの深刻さと、情報戦・プロパガンダの側面が複雑に絡み合っていることを示しています[1][6][7]。
[1] https://www.understandingwar.org/backgrounder/russian-offensive-campaign-assessment-june-2-2025 [2] https://www.aljazeera.com/news/2025/6/3/russia-ukraine-direct-talks-no-ceasefire-but-what-did-they-agree-to [3] https://www.aa.com.tr/en/russia-ukraine-war/ukraine-russia-agree-on-major-prisoner-and-body-exchange-deal-in-istanbul/3587012 [4] https://japannews.yomiuri.co.jp/news-services/ap/20250603-258581/ [5] https://novayagazeta.eu/articles/2025/06/02/moscow-and-kyiv-agree-fresh-prisoner-swap-after-istanbul-talks-as-ukraine-hands-over-list-of-339-deported-children-en-news [6] https://www.moonofalabama.org/2025/06/ukraine-cost-of-6000-dead-soldiers-thousands-abducted-children-have-vanished.html [7] https://kyivindependent.com/istanbul-talks-june-2/ [8] https://www.aljazeera.com/news/liveblog/2025/6/2/live-ukraine-russia-to-hold-talks-in-istanbul-after-kyivs-drone-attacks
