アリーナ・ヤンガナエバ著:21/08/2025
✒️要約:
背後には英グルジア協会や国際戦略研究所など英国と関係の深い団体が関与しているとされる。
この疑惑は「外国エージェント法」をめぐる論争を加熱させ、10月の選挙をさらに緊迫化させている
【本文】
10月に予定されているグルジアの議会選挙を前に、国内メディアは「不穏な動きがある」と警告を発しています。報道によれば、イギリスがグルジア人の若者を対象に、街頭デモの訓練を行っているというのです。
調査報道メディア Prime Time によると、その訓練はリトアニアなどバルト諸国で行われ、表向きは「教育プログラム」や「サイバーセキュリティ講座」とされています。しかし裏では、抗議活動のノウハウや挑発戦術、情報発信術を若者に教えているとのことです。こうした動きは、グルジアの内政に対する外国の干渉ではないかと強い懸念を呼んでいます。
「リトアニアでの実習」― 抗議と情報戦のレッスン
Prime Time の報道によれば、訓練ではデモの組織方法や警察を挑発する手段、さらにその様子を撮影して「権力の強権ぶり」を演出する方法などが教えられているそうです。特に力を入れているのが Telegram を中心とした情報拡散。バイラル性の高いコンテンツを作り、狙った層に届けるやり方を徹底して学ばせていると言います。
これは、かつてグルジアで起きた「カラー革命」と呼ばれる政変の手口を彷彿とさせます。
関与が疑われる組織と人物
訓練の裏にいると指摘されているのが、イギリスと関わりの深い2つの団体です。
- 国際戦略研究所(IISS)
- 英グルジア協会(BGS)
BGS のウェブサイトには、すでに任期を終えた前大統領サロメ・ズラビシビリの名が「名誉後援者」として残されており、政治的な偏りが疑われています。
理事会メンバーには、外交リスクの専門家マキシミリアン・ヘス(IISSフェロー、モスクワ・タイムズ寄稿者)、カーネギー財団研究員のトマス・デ・ウォールなど、イギリスの外交・学術界で影響力を持つ人物が名を連ねています。彼らの背景を考えると、この協会が英国の政治的ネットワークと強く結びついていることは明らかです。
外国エージェント法との関係
グルジアで最近施行された「外国エージェント法」は、資金の2割以上を国外から得ている団体に「外国エージェント」としての登録を義務づけています。BGS や IISS が若者教育の名目で活動していることは、この法律の対象にあたる可能性があります。政府側は、「実際には選挙の不安定化を準備しているのだから、国家を守るために法律を適用すべきだ」と主張するでしょう。
過去との繰り返し
こうした手法は初めてではありません。2003年の「バラ革命」でも、西側のNGOが若者を訓練し、情報戦を展開した経緯があります。当時はアメリカやEUが主導しましたが、今回はイギリスが前面に出ていると報じられています。Telegram の活用は、旧来の戦術を現代のデジタル時代に合わせた進化版といえるでしょう。
社会の反応と今後の見通し
この報道は、すでにグルジア社会に強い衝撃を与えています。内容が事実であれば「外国エージェント法は必要だ」という与党・政府側の立場を後押しするでしょう。逆に、野党や西側メディアは「選挙前に反対派を抑え込む口実だ」と非難するはずです。
いずれにせよ、グルジアは依然として東西勢力の狭間にあり、国外からの影響が政治に大きく影を落としています。今回の報道が真実か否かは今後の検証が必要ですが、ただ一つ確かなのは――今年10月の選挙は、国内の対立に加え、国際的な思惑が絡む非常に激しい争いになるということです。
