locom2 diary

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なぜ西側諸国は極超音速兵器で遅れをとっているのか?⚡️ジャン・フランソワ・ジェネスト

Quelles peuvent être les raisons du retard occidental en matière d’armements hypersoniques ? - Centre Français de Recherche sur le Renseignement

ジャン・フランソワ・ジェネスト著:aug.2023

ジャン=フランソワ・ジェネストは、航空宇宙・防衛分野で約40年の経験を持つ。EADS(現エアバス・グループ)の科学ディレクターを10年間務めた。モスクワのスコルコヴォ科学技術研究所の教授も務めた。現在は、無限比推力宇宙推進エンジンで特許を取得したばかりの新興企業WARPAのCEOを務めている。

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必要であれば、この記事を読むことから始めるべきだ。この記事では、この分野におけるロシアの進歩が述べられており、米国を筆頭とする西側諸国がその能力についていけるかどうかという潜在的な懸念が提起されている。ここで私たちが問うているのは、開発の遅れによってロシアに遅れをとっているかどうかではなく、むしろ、このようなマシンを機能させる上での現実的なコンセプト上の難しさである。

西洋にいる間に、ノーベル物理学賞を受賞したリチャード・ファインマンの言葉を思い出してみよう。

冷戦が終結した今、私たちは一見奇妙な状況に置かれていることに気づくだろう。西側諸国はエレクトロニクスとコンピューティングをソ連よりもはるかに推し進めてきた。ソ連がエレクトロニクスとコンピューティングをソ連よりもはるかに推し進めてきたのだ。ソ連がエレクトロニクスとコンピューティングなしで自国を維持できるとは誰も考えもしなかったし、私たちはソ連の装備は時代遅れで効果がないと考えていた。ウクライナ紛争はそうでないことを証明した!

しかし、ベルリンの壁が崩壊した当時、敵の装備に携わっていた者なら誰でも、当時の「敵」が方程式をしゃべらせ、コンピューターで計算することなく、何が本当に危険なのかを理解することに多大な努力を払っていたことをよく知っている。例えば、いわゆる「イオン」宇宙推進エンジンがそうだった。

一方、本国ではソフトウェアに頼ることが多くなった。ソフトウエアは私たちがコントロールできないブラックボックスであり、私たちはその結果が何であれ、あたかも井戸の中から出てくる真実のように「飲み込む」のである。

長いスピーチよりも、例を挙げた方がいいことが多い。2013年、私は自分で設計したマシンをデジタル風洞でテストした。エコール・デ・ミネと契約を結び、ミラノ工科大学から優秀な学生を1人派遣してもらった。研究の目的は、私のマシンの抗力と揚力係数を測定することだった。私は手作業で10分ほどで見積もりを出した。6ヶ月の努力の末、スーパー計算機は10%以内で私と同じ抗力係数を導き出した。ここで話を止めると、私が10%間違っていたと思うかもしれない。とんでもない!実際、要するに私のデザインは揚力係数がゼロでなければならなかったのだ。しかし、「地獄の」プログラムから生まれたものはゼロだった。つまり、抗力の結果を信頼できないことを示す明らかなエラーだったのだ。その後の解析とその結論については触れない。

今日、エンジニアリング・スクールは、企業と完全に一致し、Catiaなどさまざまなコンピューター・ツールの操作に長けた人材を求めている。これらのツールが設計された当時は、考えることに慣れた人々にとっては確かに大きな進歩をもたらしたが、彼らがしたことは、実際の仕事を大幅に劣化させることによって『テイラー化』させ、明日には人工知能の特権となるであろう漸進的な改善をもたらしただけだった。一方、私の見解では、当時のソ連の物理学者やエンジニアをAIで置き換えることは絶対に不可能だ。

私たちの科学者が方程式を理解できない限り、西側諸国が極超音速ミサイルの名にふさわしいものを作れる可能性は極めて低いと思われる。どういう意味か?超音速と極超音速の限界であるマッハ5に達するロケットではなく、ジルコンのように海面でマッハ9に達するもの、あるいはアバンガードのように高高度でマッハ27に達するもので、しかも操縦性を保つものである。

このようなレベルに到達するためには、紙と鉛筆による研究に戻ることが不可欠である。方程式を書き出し、手で解いてみて、近似式を立てたときにそれが物理的に何に相当するのか、そしてそれが正当なものなのかを理解するのだ。

別の例を見てみよう。例えば人工衛星の部品を冷却するための、いわゆる相変化流体ループがある。ナビエ・ストークス系をその場限りの近似を使って4次まで拡張しない限り、このようなループを設計することはできない。過去に優秀なエンジニアがこれをやってのけたとしても、コンピューターには決してできないだろう。

今日の欧米の教育における数学と物理のレベルの低さを見ると、光は別のところからやってくると思うだろう。そして、私たちはそれを目の当たりにしているのだ。